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皮膚を裸にしないで!~乾燥肌についてのささやかなアドバイス~

 このウェブサイトを開設した理由の一つに、皮膚についての

正しい知識を広くお伝えしたいという思いもあります。

日頃外来で患者さんにお話ししていることを、

少しずつインターネット上でもシェアしてゆきたいと思っています。

 ここ1週間ぐらいで、ぐっと朝の冷え込みが厳しくなるとともに、

湿度が急激に下がりましたね。それに伴い、乾燥肌の患者さんが

随分外来に来られるようになりました。

 皮疹をだいたい見せてもらったあと、まず、患者さんにお伺いすることは、

「石鹸で体を洗っておられませんか」

「シャンプーはお使いですか」

という質問です。たいていの方は

「洗っている」

「ナイロンタオルでこすっている」

「シャンプーを使わないと汚れが取れない」

などの反応が帰ってきます。そこで

「なるべく洗わないように、基本的にはお湯に浸かったり、

お湯ですすぐだけにしてください」

とお伝えすると、患者さんは相当驚かれるようです。

 皮膚の表面には皮脂膜と言われる油の膜があって、

皮膚表面から水分が蒸散するのを防いでいます。

また垢になって剥がれ落ちる古い角質細胞も、

その隙間をふさぐセラミドなどの細胞間脂質とともに、

皮膚を守るために働いています。

これを毎日、お風呂に入って石鹸やタオルでよくこすって

取り除けてしまうとどうなるでしょうか。それはちょうど、

ヌメリをとった魚がすぐ弱ってしまったり、

茶色い皮を剥いだ玉ねぎがすぐに傷んでしまうようなものです。

表皮を作っている細胞は、角層からの水分保持ができなくなって

悲鳴を上げています。赤くなったり、かゆくなったりする炎症は、

皮膚の危険信号なのです。

 しつこい皮膚炎、乾燥肌、かゆみで悩まされている人は、

お風呂で洗うことを控えてもらうようにすると改善されることがあります

(※それだけが原因というわけではありません)。

基本的にはお湯に浸かるだけ、またシャンプーも控えてお湯で

すすぐだけにしてみてください。自分の体から出る天然の保湿成分が、

何よりのトリートメント、保湿剤となっていることが

実感できるのではないかと思います。

 ・・・という内容を口を酸っぱくして次から次にやってくる患者さんに

話している毎日ですが、同じようなことを歌手の福山雅治さんが

言われていたようです。細かいところでは、ン?と思う記述もありますが、

概ね正しい内容と思います。石鹸は必要悪です。たくさん泡を立てればよい、

というものではありません。

なるべく使用頻度を減らすように、どうしても使わなければならない時には

薄めて使うように心がけてみてくださいね。

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