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アトピー性皮膚炎の全身療法~2.ホルモン剤の内服について~

February 6, 2015

 

 

寒い日が続きますね。

内科や小児科、耳鼻科などでは大混雑の毎日ですが、

冬の皮膚科は夏よりずっとすいています。

特に2月は底になります。

 

とはいえ、専門医ふたりで診察させていただいているせいでしょうか、

今年の冬は少し例年に比べて多めです。

乾燥肌、それに伴うかぶれ、しもやけ、帯状疱疹、水いぼなどなど。

特に夕方は混み合いますので、

早めにお越し下さい。

 

前回はアトピー性皮膚炎の治療の基本になる外用療法、

紫外線を当てる「中波紫外線療法(ナローバンドUVB)」について

説明いたしました。

 

「お薬を塗るのだけど、頑張って塗ってもこれ以上よくならない。

紫外線も当てたら良さそうなんだけど、

仕事が忙しくて、月に何度も通院できそうにない。」

 

そういう患者さんにはホルモン剤の内服

またはシクロスポリンの内服を勧めています。

(もちろん、入院していただいて

みんなで手分けをして外用剤を1日3回塗れば、

まず確実に1週間できれいに治ってしまうのですが、

家庭で塗る場合には残念ながら限界があります。)

 

ホルモン剤の内服は、膠原病、薬疹の治療などでよく使われます。

体内で生産されている「副腎皮質ホルモン」を、

自前で生産する分の数倍の量で内服していきます。

すると、炎症を起こしている細胞を抑えることができるため、

湿疹が目に見えて減ります。

アトピー性皮膚炎では、膠原病などよりはずっと少ない量で

コントロールが可能です。

 

この治療法の最大の利点は、「コストパフォーマンス」

それまでの塗り薬中心の治療+アルファの治療費で、

今までとは比べ物にならない症状の改善が見られます。

 

デメリットは、副作用の発現を未然に防ぐために、

治療する期間が比較的短期間に限られることです。

主な副作用として、胃粘膜の障害が挙げられます。

ですからホルモン剤の内服中は、胃が悪くならないように、

胃薬を内服してもらいます。

 

そのほか様々な副作用はありますが、

皮膚科専門医が皮疹の詳細な観察を行い、

全身に異常がないか確認しながら治療を進めてゆけば、

決して体に有害な治療ではありません。

 

ただし、急にやめると、抑えきっていない発疹が悪化したり、

自前の副腎皮質ホルモンが十分に出なかったり(副腎クリーゼ)するので、

必ず少しずつやめるように処方、説明します。

 

 

一言でまとめると、ホルモン剤の内服は、

「安上がりだが、副作用が起こらないように十分な注意が必要な治療法」

と言えるでしょう。

 

次回は同じような免疫の働きを抑える薬でありながら、

比較的長期に内服しても副作用発現の懸念が少ない、

「シクロスポリン内服」

についてご説明したいと思います。

 

付記)

「症状をただ抑えているだけじゃないですか、

もっと体質改善のような治療はできないのですか?」

と聞かれることもあります。

確かに、全身療法とは言っても結局、対症療法にしか過ぎません。

そう聞かれた時には、砂場で水を流した時の例えを

お話しすることにしています。

 

砂で堤防を作って上からバケツで水を注ぐと、

川のように流れてゆきます。

ところが、途中で堤防が決壊した時には、

また別の水路が形成されて、

本来の川の流れは途絶えてしまいます。

そんな時には、一旦新しい水路をせき止めてやると、

また本来の川床に流れが戻ってゆきます。

 

こじれてしまったアトピー性皮膚炎の患者さんは、

ちょうど堤防が決壊してしまった川のようなものです。

本来の皮膚のあるべき姿、皮疹のない状態を

すっかり忘れてしまっているのです。

そんなときは対症療法的に、とにかく一時的にでも、

皮疹のない状態を再現する必要があります。

そうしているうちに、患者さん自身が、

正常の体の働きを思い出してくれます。

そうなってしまえば、そんな強い治療は必要ありません。

皮疹が少し出たときに、わずかのお薬を塗る程度で、

ストレスのない生活を送ることができるようになります。

「体質改善」というよりは、「体質回帰」ですねw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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